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ドラゴンタトゥーの女・特にタトゥーは無い私

ずいぶん前の話になるが,ドラゴンタトゥーの女を観た.ざっくりとストーリーを説明すると,「過去何人も殺してるすっげえ殺人者がいて,それを探偵役のジャーナリストとその助手であるところのドラゴンタトゥーの女がそれが誰なのか突き止める」という話.

いろいろあってジャーナリストは犯人を突き止める.例によって「ええ!あの人が?身内やん!」という感じで観客を半信半疑させたまま,彼は犯人の家に向かう.幸か不幸か留守であったので,家に侵入してごそごそする.車の音がして,家主の到着.高まる緊張感.間一髪で裏口から脱出するが,家主である犯人は異変を察してしまう.直ちに庭に出て,きょろきょろすると,いる.裏山を行くジャーナリストが.

犯人はさすが(?)殺人者だけあって動じず「こんな夜に散歩かい?」と和やかに声をかける.ジャーナリストは犯人の家から出たのではなく,たった今来たのだという体で「ええ,眠れなくて」と返答する.「一杯やってくかい?」「いや,今日はちょっと...」「まあまあ,そう言わずに」

この会話の後,ジャーナリストはあろうことか犯人の家に上がり込んでしまう.私はこのシーンにひどく興味を持った.フィクションなのだから当たり前だろうと思われるかもしれないが,そうではなくて,肝心な何かを嗅ぎとったのだ.

その肝腎な何かと近しく思えることが立て続けに起こった.どのように近しいかは自分でもわからないが,どういうわけかのこのこ着いて行ったジャーナリストが想起されたのだ.これが映画を観たのがずいぶん前にもかかわらず,今さらこうして書き記している理由である.いくつも挙げても読んでもらえなさそうなので,ひとまず一つ.

四日ほど前のこと,マクドナルドで勉強していた時の話.飲み物を買って席につき,カリカリ問題を解いていた.テスト前だけあって大学生風の人々が勉強をしている.店員が来て「混んでおりますので,食事がお済みになりましたら席をお譲りくださいませ」と客に伝えて回っているのに気付いた.長居している人・テキストを広げている人・ペンを持っている人・買ったものを食べ尽くした人,店員がどのような基準で声をかけているかはわからなかった.とにかく店についたばかりで,まだなみなみと飲み物が残っている私は声をかけられることはなかった.そのためか,どこか他人事としてぼうっと眺めていた.すると勉強していた人々が続々と席を立っていく.気がつけば先ほど声をかけられた人のほとんどが姿を消した.

私は彼らの行動に違和感を覚えた.というのも,時間は16時ごろと中途半端だったし,席の埋まり方も,ガラガラでは無いにせよ6割程度といったところ.また,店員の言い方にも悪意や敵意は決して含まれていなかった.中には,「よし,北大路のマクドナルドに行こう」「あそこも混んでるだろうか」などと話しながら連れ立つ人もいて,私は驚いてしまった.

いてもたってもいられなくなって,帰ろうとする人にどうして帰るのか聞いてみた.すると「なんとなくめんどくさいので」「厄介なので」というようなことを言っていた.何故だかわからないが,そこで私は犯人の誘いを断れなかったジャーナリストを思わずにはいられなかった.と同時に,深夜のミナミでマクドナルドに入ったときのことも思い出された.酔いつぶれた人や始発まで行く当ての無い人がみな寝ている.座席の占有率は2割くらいだろうか.ただし,思い切り寝られるのはさすがに迷惑らしく,店員が何度も起こしにきていた.寝るなというのにみんな無視し寝ていた.そういえば早朝の三宮でも同様の光景が見られた.


以上,つらつらと書いたのでこのことはいったん忘れたい.ドラゴンタトゥーの女は良い探偵映画だったが,僕のもやもやもなかなか不思議な謎だと思う.再び想起し,関連性を見出した理由にたどりつけることを願って.