旅予告


やまかつと旅行する.なぜ旅行するかなんて理由めいたものは無いし,特別に行きたいところも食べたいものも会いたい人もまるで無い.なんでもよかった.むしゃくしゃしてやった.このまま無い無いを積み重ねて,行くところまで行ってしまいたかった.

私の本懐はやはり,「60点の天ぷらも100点のステーキも200点のパスタも似たり寄ったりなのだからどうでもよくて,点数が付けられない鯛めしこそ食べたい」みたいなところなのだろう.人も場所も同様である.数直線上で互いに比較し,何倍すごい何十倍すごいって言うててもキリがない.数直線上を取っ払ってしまった上で,人に出会って,ものを食べながら話をする.


旅のルールとしては,
・ビールにしかお金を使わない(行き帰りの電車賃を除いて)
・ビールが通貨として見えてきたあたり,同時に,世界のどこかに散らばっているという地ビールを7本飲んで神龍に会ったあたりで京都に帰れる
・うまくいかなくても泣かない
・一目惚れは控える


数直線上の何倍って感覚は大したことないと上で述べたけれど,実際そうでもない.40万円と400万円はけっこう違うし5単位と20単位は全く違う.巨視的に見ようとつとめているせいもあるけど,単純に危機感に欠けている実感が私にはある.さらには,差と比を直感的に捉えた際の差異もあるのかもしれない.とにかく,私はこのままではキリギリスになってしまいそうであることを自覚しながら生きている.

うまくいくはずがないだろうという不安や,今日日の安全快適で梱包された旅より人生に近いなという話とか,儚げな月を見た話とか,そんなのもしたいけど明日朝早いので寝ます.